「モーニング娘。」とプロレスの共通項

日本プロレス帝国崩壊』(タダシ☆タナカ著)って本読んでたら『「モーニング娘。」とプロレスの共通項』って項があった。3年前に出版された本で今と事情が異なる部分もあるので私の意見は特にありません。一応書き起こしますが専門用語が出てくるのでプロレス分かんない人が読んでもさっぱりだと思うので飛ばしちゃって結構です。


先に二、三の用語解説をすると『至近距離』はミスター高橋氏が出版したプロレスの暴露本のタイトル。台本を忘れたレスラーに耳元で次の技を教えたり生中継のとき指で合図してそろそろ試合を終わるようにサインを出していたことなどが書かれている。
ビンス・マクマホンは世界最大のプロレス団体のトップ。夫人のリンダは現CEOでテレビ東京ワールドビジネスサテライトに出演したことがある。
『オーバー』はいわゆる「ブレイク」のこと。人気が出ること。
『ブッカー』は「ブック」(台本)を作る人。対戦カード、試合終了時間、試合展開、フィニッシュ技、どのタイミングで誰を乱入させるかなどを企画して現場を仕切る現場監督。
『スマート』はブッカーの立場で一つの興行を楽しむファンのこと。




 一部の狂信的なプロレスオタクは、プロレスが全試合ショーだという事実をどうしても認めたくないようだ。それが、カミングアウト反対派の人たち共通に見られる現象である。抵抗勢力は身内にいたわけだ。
私はそれらの人々を改宗させようなどと、大それたアジェンダ(議題)を掲げるつもりはまったくない。プロレスは解釈自由のスポーツ芸術だから、お金を払う限りはどう楽しもうが趣味の世界でしかない。これは、私がプロレスの仕組みをはっきりと活字にして発表した一九七九年から、繰り返して配慮してきた最大のポイントでもある。
 まだプロレスファンになってすらいない、とりあえず「モーニング娘。」を面白がっている人たちに振り向いてもらうほうが、はるかに大切なのだ。信じない組にとっては、業界用語まで詳細に解説して舞台裏を書こうが、ビンス・マクマホンがCNNの「ラリー・キング・ライブ」でプロレスはショーだと証言しようが、元レフェリーのミスター高橋が“至近距離”から告白しようとも、そもそも空想の世界にひたっていたいようだ。馬耳東風なのだから、好きにさせてあげようではないか。
 くしくも、そのプロレス業界の手法を使ってブレイクしたのが「モー娘。」だった。
 プロデューサー自ら仕掛けを物語として大衆に提供する。それぞれのメンバーのキャラクターをオーバー(業界用語で受けること)させて回していく過程は、つんく♂(監督ブッカー役)を軸としたお茶の間への大衆感情操作による浸透戦略が功を奏したからにほかならない。
 日本でもウェブ上には、メディアの報道に対し、感情的になるだけではなく、さまざまな観点から冷静に分析する人たちがようやく現れはじめた。WWFの大衆化路線と歩調を合わせてきた「モー娘。」の成長が、スマート層をつくりはじめたとも言えるだろう。
 アイドル卒業というかたちでメンバーを入れ替えることで、ファンの側は永遠に卒業しないという仕組みなど、まさしくアメプロの経営論である。コネで加入したとされる最年少メンバーは「モー娘。初のヒールキャラ」と、わざわざスポーツ紙に書いてもらうわけだ。ブーイングを逆手にとって売り出す魂胆である。